「負け」をいかに少なくするかが、投資で良い成果を出すために重要だ。
しかし、いったん「負けのサイクル」に入ると、そこから抜け出すのは難しい。その難しさの状況は、アインシュタインのこの言葉が適確にあらわしているだろう。
「今日我々の直面する重要な問題は、その問題をつくった時と同じ考えのレベルでは解決することはできない」
この言葉を負けのサイクルに入っている人に当てはめてると、視点を高くしなければ、負の連鎖から抜け出せないということだ。
しかし、負けているときにこそ、そこから抜けだすのが難しい。なぜなら、私たちはその問題をつくった時と同じ考えのレベルに依存しがちだからだ。もっと簡単に言うと、視野がせまくなってしまい、一生負のサイクルから抜け出せないと思ってしまうのだ。
ではその負の連鎖から抜け出すにはどうしたらいいか。そのために、自分が負けている時にどんな心理状態を知り、そこから抜け出す方具体的な方法を持っておくことである。残念ながら、「負の連鎖がない」ということはありえない。投資のプロでも失敗はしているのである。
そこで今回は、あなたが負けている時にどんな感情になるのかを把握してもらうことを提案したい。とはいっても、すぐに思いつくわけではないだろう。ましてや、負けている時の嫌な感情など思い出したくないというのが正直な感情のはずだ。
だからこの記事では、私の「負けている時の心理状態」を例として紹介してみたい。この中であなたは当てはまるかどうか、考えてもらいたい。当てはまらなかったとしても、今後あなたが「負の感情」になった時の参考になろうだろう。
それでは、負けている時の心理状態を紹介しよう。
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トレードで負けている時の心理状態5選(私の場合)
私が負けている時の「良くない」心理状態を5つ紹介しよう。それぞれ、その心理状態がどのようなものか、その心理状態だとトレードにどのように影響がするかを示していく。
また、そうなった時の対処法も考えてみた。参考にしてもらいたい。
1. 早く取り返したい
トレードで負けると実際にお金を失うと、とても悔しく、時には怒りさえ覚えるものだ。負けた自分に対してのふがいなさを感じたり、負けた悔しさをマーケットのせいにしたくなるなど、様々な感情の変化がある。そんな時には、「早く損失を取り返したい!」という思いに駆られてしまう。
この心理状態の時は視野が狭くなる。早く取り返したいという感情が優位になっているため、脳が論理的に判断ができにくくなっているのだ。そのため、多少の甘い条件でもエントリーしてしまう。その結果、勝率も悪くなるのだ。投資は熱くなった方が負ける。「早く取り返したい」という感情の時、確実に熱くなっている。
では、この心理状態から抜け出すにはどうしたらいいか。具体的な行動を1つ、マインドを切り替える考え方を1つ紹介しよう。
まず具体的な行動は、マーケットから離れてリラックスすることである。熱くなっている時にマーケットのチャートを見ていると、どうしてもやりたくなってしまう。だから、まずは強制的にパソコンとスマホを閉じて、お茶でも飲むといいだろう。深呼吸をしてもいいし、本を読んだり散歩に出かけるのもいいかもしれない。あなたがリラックスし、早く取り返したい!という感情から抜け出せればなんでもいいわけだ。
もう一つのマインドを切り替える考え方はシンプルで、長期的に勝っていればいいと考えることだ。一回の取引に一喜一憂するのではなく、何十回何百回やった中で勝っていればいいと思うことだ。これはプロ野球選手が1打席で一喜一憂することなく、年間を通していい結果を出すことが求められるのと似ている。
もちろん、それは一回の取引に対して手を抜くというわけではない。一回一回を全力で取り組みつつ、そこに執着しないということだ。これは難しいかもしれないが、この考え方を身につけている人はどんなジャンルでも圧倒的な結果を出している。早く取り返したい!と熱くなっている時には、この考え方を思い出すといいだろう。
2.もうどうでもいいや
続いて私が陥った負の感情は、あきらめである。つまり、投資で勝つことがどうでもよくなってしまうのである。今考えると、何でそんなこと考えたのだと思うが、実際にそう思ってしまった。なぜなら、ここまで勉強して取引していっても一向に勝率が上がらないこと、自分が耐えられなくなっていたことがあったからだ。
投資で結果が出ないことに対して、自分に言い訳をしたい思いに駆られた。「投資なんてどうでもいい」と思うことで、負けたときの言い訳を用意していたのかもしれない。
この心理で投資をするとどうなるかは、目に見えている。エントリー条件があいまいなままエントリーをしたり、ありえない金額で取引してしまう。まさにギャンブルをしてしまうのである。
この状態のおそろしいところは、すぐに元本を減らしてしまうことだ。ほとんどの場合、投資がうまくいかないことの当てつけとして取引をしているので、結果的に自分が取引できない金額まで使ってしまう。
では、ここから抜け出すにはどうしたらいいか。まずは、先ほどと同じようにマーケットから離れることだ。そしてリラックスすることである。そうすることで、もうどうでもいいや!という感情から少しでも離れることができるだろう。
さらに、できればあなたが好きなことや得意なことをするといいだろう。そうすることで自分に自信を取り戻すことができる。例えば、料理が好きであれば簡単なものを作れるだけで、簡単な料理を作れたという成功を体験できるからである。投資で失敗し、どうでもいいやという感情の時には投資に対しての自信がなくなってしまっている時が多い。だからこそ、他のことで「私はできるんだ」という自信を思い出す必要がある。そうすれば、また勉強して新しい気持ちで投資に向きあえることだろう。
3. 完璧なエントリー条件まで待ちたくない
これは、最初の心理の早く取り返したいに似ている感情だ。完璧なエントリー条件を待つのが面倒になってしまい、早くエントリーをしたくなるのだ。これは損失を取り返したいというよりも、トレードによる感情の起伏や高揚感を味わいたいという欲によるものだ。
パチンコや宝くじなどのように、純粋にその行為による感情の起伏を楽しみたいというのであればそれはそれでいいだろう。趣味として行うのはなんら問題はない。
しかし、投資としてバイナリーオプションを行うのであれば、トレードによるその感情を味わいたいとう欲は抑えなければならない。
これができないと、バイナリーオプションが投資ではなくギャンブルになり、勝率が悪くなってしまうだろう。
完璧なエントリー条件でエントリーするには、何のためにバイナリーオプションをするかを思い出す必要がある。ギャンブルとしてやるのか投資としてやるのかを決めることだ。もし投資として行うと決めたならば、完璧なエントリー条件でしかエントリーしないと、自分に約束しないといけない。
とはいっても、取引中や取引結果による一喜一憂を楽しみたい味わいたいという思いも、なくなるわけではないだろう。そういう思いは、バイナリーオプション以外で消化するという方法が良いだろう。例えば、パチンコや宝くじでもいい。その他にも、スポーツ観戦やライブに出かけるなど感情の起伏を楽しめるものはたくさんある。
ここで注意しなければならないのは、ギャンブルをすすめているわけではないということだ。宝くじをはじめ、競馬やパチンコは期待値がとても低いゲームであり、そこで利益を出すことは極めて非生産的である。経済的な面から見れば、ギャンブルをすることは馬鹿馬鹿しいことは明らかである。
しかし、あえてそれをわかった上で、趣味としてやるのは何も問題はないということだ。それでいくらお金や時間を失っても、本人の人生なのだからそこを責めることはできない。
ということで、早く取引して感情の起伏を味わいたいという思いに駆られたら、まずはリラックスしてマーケットを離れることだ。そして、この感情は別の手段で解消するべきだろう。
4. 負けたままというモヤモヤしている状態から早く抜けたい
負けた自分が許せないという時は、早く勝ちに持っていきたいと思ってしまう。早く勝って安心したいというのがその時の本音だろう。
しかし、この感情のままでいるとエントリー条件が甘くなる。なぜなら勝利することが目的ではなく、早く勝利することが目的になっているからである。するとエントリー条件が甘くなり、取引回数が増えてしまう。
確かに、エントリー回数を多くすれば勝つまでのスピードは速い。1回より2回やった方が勝てる可能性はある。しかし同時に負ける可能性も増える。早く勝利することを目的とすると、勝ちに至るまでのスピードは早くすることはできる。しかし、勝ちに至るまでその倍以上に負けてしまうという危険性も大きいのだ。
この心理状態から抜け出すには、長期的に勝っている自分を思い出し、イメージすることだ。負けているモヤモヤ感はなかなか消えることではないが、長期的に勝っているという事実を思い出すことで、その負けに対しての執着が減ることだろう。長期的に勝っていない、まだ結果がでていないという人も、これから私は長期的に勝っていくだというイメージを持つことで、それと同じような効果があるだろう。
5. 1回の取引で大きく取り戻したい
元本が減ると早く元に戻したくなるだろう。その時には少しずつ取り戻すのではなく、一回で大きく取り戻したいと思いがちだ。しかし、そこにはとても大きなリスクマがある。なぜなら、一回にかける金額を大きくすると負けた時の損失が大きいからだ。
確かに、負けたあとに倍額をかけて勝てれば嬉しいし、実際に資金が増えるスピードも速いだろう。しかし、それ以上に失う時のスピードも速く、そこから取り戻すのに時間がかかる。長期的に見れば、一回で取り戻そうとしないほうが、資金は増えていくスピードは速いのだ。
とはいえ、倍額をかけて勝った時の喜びは麻薬のようなものだ。実際に私もそれを味わったこともある。一度味わってしまうと、それにはまってしまうのだ。例えば私の場合、負けた後に倍額で勝ってしまうと「負けても大丈夫」という心のすきが生まれ、エントリー条件が甘くなり勝率が悪くなった。もちろん資金も減っていった。
だからこそ、対処方が必要だ。他のところでも述べたが、まずはリラックスすることが必要だ。深呼吸したり、本を読んだりするといいだろう。誰かと話すことも良いかもしれない。そうすると、「ああ、自分は熱くなっていたな」と客観的に自分を観れるようになってくる。
その他にも、今まで取引結果を見直して長期的に勝ってきた記録を見るというのもいいだろう。今の自分の負けが、大きな1敗ではなく長期的なスパンの中での単なる1敗に感じやすくなる。
負けている時どう感じる?
どうだっただろうか。「とても共感する」といったものから、「こんなアホな心理状態になるとはIMKは馬鹿なんじゃないか」といった、様々なことを感じただろう。今回は私の負けている時の心理状態を紹介したが、今度はあなた自身の場合を考えてほしい。
負けた時の心理状態について考えるとはずいぶんネガティブじゃないかと思うかもしれないが、投資では勝つことよりも負けないことの方が重要だ。ということは、負けている時にいかに連敗しないかが大切ということになる。負け続けないためにも、負けている時にはどんな心理状態になるかをイメージし、それに対する行動を考えてもらいたい。
一見地味だが、長期的にみて大きな効果がある。今回紹介した対処法がその参考になれば幸いだ。
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